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【平成29年度版】職場環境改善計画助成金

平成26年に施行された労働安全衛生法の改正により、50人以上の労働者をもつ事業所はストレスチェックをすることが義務となりました。以前、当サイトの既存記事でストレスチェックはストレスチェック助成金により安価にできるとご紹介しました。

今回の記事では、その続きと言える職場環境改善計画助成金についてお話します。この助成金ではAコースとBコースがありますので、その違いについてもお伝えします。

1.職場環境改善計画助成金はストレスチェック実施後の助成金

職場環境改善計画助成金は、ストレスチェックが完了している状態でないと申し込むことはできません。ちなみに、ストレスチェック助成金でもらえるお金(支給額)は、ストレスチェック実施で500円/1従業員、その他面談などの医師による活動に対しては21,500円/1回(最大3回まで支給)です。

しかし、今回ご紹介する職場環境改善計画助成金では1事業所あたり1回最大10万円まで支給されます。(1事業所生涯につき1回まで)

そのため、「ストレスチェックをわが社に導入したいけど、助成金の額が十分でないのでやめておこう」と考えるのは、まだ早いです。ストレスチェックに関してもらえる助成金は、ストレスチェック+職場環境改善計画助成金の2本立てである、と理解しましょう。

2.そもそもストレスチェックとは?

2015年12月から厚生労働省より義務化されているストレスチェック制度とは、50人以上の常勤労働者のいる事業所が実施しなくてはなりません。そしてストレスチェックとは、簡単に言うとプリントで行う心理テストのようなものです。

ストレスチェックを行う場合、事業主は医師や保健師など有資格者である「ストレスチェックの実施者」をまず決めなくてはいけません。そして、実施日には各労働者が「物事に集中できますか?」「気分が晴れない時がありますか?」など、およそ60の質問に答えてストレス度を測ります。

ストレスチェックの結果は実施者から本人にのみ通知されます。該当の労働者は、その結果をみて希望があれば医師と面談することが可能です。

3.職場環境改善計画助成金の支給要件6つとは?

職場環境改善計画助成金をもらうには、いくつかの条件があります。1つ1つみていきましょう。

①労働保険適用事業所であること

労働者を一人でも雇用した場合は、事業主は労働保険に加入することが法律で定められています。基本的に、全ての事業所は労働保険に加入しているはずなので、この条件については問題ないでしょう。

②平成29年度以降、専門家と職場環境改善指導に係る契約を終結している

専門家は、ストレスチェック実施者と同じで構いません。そして、社内の人間ではなく外部の人間でなくてはいけません。具体的には、産業医・保健師・労働衛生コンサルタントなどを指します。

③ストレスチェックの結果から職場改善計画を作成する

さて、ストレスチェックの個別結果は医師より本人に通知されるのですが、その集団結果は事業主にわたります。

職場でのストレスに病んでいる労働者がいた場合、自分から医師へ面談をしたいと上司に申し出るのは、かなり難しいですよね。このため、事業主はストレスチェックの実施で安心しているのではなく、その集団結果を職場改善へと生かさなくては意味がないのです。

意味がないのですが、職場改善計画の作成は現時点では厚生労働省より義務化されてはいません。努力義務です。しかし、職場環境改善計画助成金が欲しいのであれば、作成する必要があります。

 

(1)PDCAとは

事業活動における「PDCAサイクル」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?P=PLAN(プラン/計画)、D=DO(ドゥー/実行)、C=CHECK(チェック/評価)、A=ACT(アクト/改善)という意味で、何の事業をするにもこのサイクルを継続的に行うことで改善できると考えられていて、品質管理や生産管理などの経営でも使われている手法です。

職場改善計画についても、この考え方を取り入れ作成していくとよい改善案ができるでしょう。

(2)どんな計画にすればよいか

ストレスチェックの集団結果を見て、例えば人的ないじめ・パワハラのようなものがあったとします。その場合、いじめ、パワハラで困っている部署の特定や、個人面談などを計画するかもしれません。

また、ストレスの要因は人間関係だけとは限りません。タバコの煙が嫌だ、仕事着への着替え場所を変更してほしい、など、職場は様々な人間が集まる場所なのでストレスも多岐に渡る場合もあるでしょう。この場合は、事業主はそのストレス度合や件数の多さを見て禁煙の導入などの環境整備を計画するかもしれません。

④作成した計画に基づき職場改善を実施すること

作成した計画は、記載された通りの日程、内容を事業主内の実施者が担当し遂行します。

⑤計画の実施を産業医に認定してもらう

ストレスチェックの実施者は医者や保健師などの有資格者でないといけないと前述しましたが、さらに細かくいうと事業主と契約する医師は産業医でなくてはいけません。

産業医とは、職場内で労働者が働きやすくなるよう指導・アドバイスができる専門的知識を持つ医師です。ストレスチェック助成金をもらうには産業医のいる団体へストレスチェックを申し込み、職場環境改善計画助成金をもらうには産業医に職場改善計画の実施について認定してもらわないといけません。

⑥産業医から総合的なアドバイス・指導を受けている

職場環境改善計画助成金の実施の目的はあくまで、労働者にとって働きやすい職場環境を整備することです。職場内では職権や雰囲気などの関係で、なかなか労働者は自分の上司や役員へものを言うのは難しい状況があります。

そのため、医師・保健師など第三者の指導やアドバイスを受けることはとても重要です。特に、産業医は働く労働者の精神についてのプロフェッショナルです。産業医などからのアドバイスは、ストレスチェックの結果のみからではなく、管理者から得られた日常的な情報と労働者からの意見聴取など総合的に判断されるものです。

これは、学校のいじめ問題にも少し類似しています。教育委員会がよくテレビで「アンケートをしたが、いじめはなかった」と言い張っても、実際には違う場合が多々あります。別の人間が取材したところ、その学校では以前からイジメがあったというように、問題は多角的にあぶり出さないと真実は分からないのです。

産業医などの専門家は、今の自社に足りないものは何か、どうすれば改善できるか、ということを多角的にみてフィードバック・アドバイスしてくれることでしょう。

なお、これらの条件の詳細はこちらのリンク:職場環境改善計画助成金支給要領(Aコース)からもご覧頂けます。

4.Aコース・Bコースの違いとは?

職場環境改善計画助成金にはAコース・Bコースと2つのコースがあります。Aコース・Bコースの違いを以下にまとめます。

簡単に言うと、Aコースは産業医などによる専門的指導にかかる費用と機器・設備購入のための助成をしてくれる助成金で、Bコースはメンタルヘルス対策促進員(労働者健康安全機構が依頼)から助言・指導を受け、機器・設備購入をした場合の助成金という違いがあります。

5.申請期限

申請期限は、AコースBコースともに同じです。

平成29年6月1日から平成30年6月30日まで(消印有効)

但し、申請期間中でも既定に達したなどの理由で早めに終了する場合もあるそうです。申請を予定している事業主は、早めに手続きを行いましょう。

6.手続きの流れ

手続きの流れもAコース・Bコースはほとんど同じです。ストレスチェックを行っていることが大前提ですので、まずはストレスチェック後の分析からスタートします。

7.書類について

提出書類は、以下5種類です。

  • ・職場環境改善計画助成金支給申請書(AコースまたはBコース)

  • ・労働保険料一括納付に係る証明書

  • ・職場環境改善指導実績報告書

  • ・職場環境改善計画及び改善状況確認書

  • ・職場環境改善計画助成金支給申請(AコースまたはBコース)チェックリスト兼同意書

これらの書類は、以下労働者健康安全機構のサイトからダウンロードすることができます。

申請様式とチェックリストのダウンロード

まとめ

いかがでしたか?うつや労災認定での自殺などが増加している現在の日本では、職場環境の向上は避けられない問題です。ご紹介しました助成金は、比較的マニュアルが充実している助成金ですので、初めて助成金を目指す事業主の方にも取り組みやすいことでしょう。

ストレスチェック導入マニュアル

職場環境改善計画助成金(Aコース)の手引き(平成29年度版)