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他人事ではない?介護しながらの仕事をサポートする介護離職防止支援助成金

日本が高齢化社会とは1970年代から言われていますが、現在は高齢化社会ではもはやなくなっています。日本人口の4人に一人は満65歳以上という、「超」高齢化社会なのです。そのため40~60代くらいの現役世代で、働きながら同時に自分や配偶者の介護もしなくてはならないという人は決して少なくありません。むしろ、これから増える一方なのです。

今回の記事では、もはや他人事ではない「介護」と「仕事」の両立をサポートする助成金についてご紹介していきます。

 1.介護離職って何?

介護離職とは、働きながら介護をして限界を感じ、仕事を退職してしまうというケースです。

介護は忍耐や体力が必要で、決して一人では抱えきれない問題です。1992年頃に26歳であった日本人女性の初婚年齢が、2016年には29.4歳となりました。初婚年齢が遅くなるということは、それだけ初産年齢も上がります。自分の子供がまだ独り立ちしていないのに、親の介護も同時にしなくてはいけないという事態に陥り、より現代の介護を深刻なものにしています。

介護離職は切実な社会問題で、2007年に8万人だった介護を理由に離職した人口数は2012年には10万人を超えると厚生労働省から発表されました。経験豊富な社員が介護を理由に会社を辞めてしまう、というのは、会社にとっても非常に大きな負担です。

 

2.介護離職防止支援助成金とは?

①介護支援取組助成金が新しくリニューアルされたもの

従来の介護支援取組助成金が廃止され、新たに平成28年10月19日より介護離職防止支援助成金へと移行されました。介護支援取組助成金は当初、介護休業制度や介護のための短時間勤務という環境を整えさえすれば、比較的もらいやすい助成金としての位置づけでした。

しかし、支給要件は次第に厳しくなっていきました。申請の前後3か月の有給取得向上率や時間外労働の削減ができたかということも報告しなければいけない事項として新たに盛り込まれました。そんな中、新たにスタートした介護離職防止支援助成金についても、支給については支給要件があります。

 

しかし、やるべき事をしっかりやれば決して難しい内容ではありません。むしろ、他の助成金より受給しやすい助成金です。

基本は、社員が仕事と介護を両立しやすいように制度を整えケアしてあげること。具体的に言うと、介護休暇や介護制度・そして研修の実施や窓口を設けるという環境を作り上げるということに終始しています。アンケートや研修用の配布物など、必要な資料は全て厚生労働省が用意しておりホームページからダウンロード可能です。(当記事内でも下方にリンクを貼っています)

 

介護離職防止支援助成金をもらうための支給要件については、後ほど詳しくご紹介していきます。

 

②両立支援等助成金の中の1つとして位置づけ

介護離職防止支援助成金は、厚生労働省が介護と仕事を両立する支援のために支給する助成金です。介護と仕事以外にも、育児と仕事、など〇〇と仕事を両立させるというテーマの助成金「両立支援等助成金」があり、その中の1つのコースとしての位置づけされています。

 

③いくらもらえるの?

支給額は介護離職の取り組みの種類により次のように2通りあります。

 

1.(介護休業を実施した場合)1事業所あたり、社員1名につき38万円(中小企業は57万円)支給されます。

2.(介護制度を実施した場合)1事業所あたり、社員1名につき19万円(中小企業は28.5万円)支給されます。

 

 例えば、中小企業の会社Aが介護中の社員Bさんに30日以上の介護休業を与えたとしましょう。

会社Aは、Bさんに介護休暇を与えた実績で介護離職防止支援助成金を申請することにしました。会社Aの会社規模は中小企業であり、Bさんは介護休暇をもらったので、もらえる助成金の額の計算は

57万円×1名=57万円 という計算になります。

なお、対象となる社員の数は、有期契約社員と無期契約社員の計2名ずつまでが対象です。支給額をもっとアップさせることも可能です。厚生労働省が規定する生産性要件を満たすと、以下の金額がアップになります。

 

1.(介護休業を実施した場合)1事業所あたり、社員1名につき+10万円支給されます。

(中小企業は+15万円)

2.(介護制度を実施した場合)1事業所あたり、社員1名につき+5万円支給されます。

(中小企業は+7.5万円)

 

④どうしたらもらえるの?

支給されるには、まず次でご紹介する条件をクリアしているかを確認します。条件に合う事業主であれば、介護支援を社内で実施します。

介護支援の全ての取り組みが完了した翌月から2か月以内に、厚生労働省のホームページより以下4種類の書類を事業所所在の管轄労働局所長宛てに提出します。

 

  • 1.両立支援等助成金支給(介護離職防止支援コース)申請書
  • ※取組より介護休業用と介護制度用があり
  • 2.両立支援等助成金支給(介護離職防止支援コース)アンケート調査結果報告書
  • 3.両立支援等助成金支給(介護離職防止支援コース)研修実施結果書
  • 4.仕事と介護の両立支援 面談シート 介護支援プラン

 

この他に、自社で変更・策定した介護制度を盛り込んだ規定を添付します。

仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/

⑤申請するための条件とは?

中小企業であること

厚生労働省の定める中小企業とは、事業の種類により以下となります。

小売業(飲食店) サービス業 卸売業 その他の業種
資本または出資の額 5千万円以下 5千万円以下 1億円以下 3億円以下
常用労働者 50人以下 100人以下 100人以下 300人以下

助成金は事業主ごとの単位

申請する前提として、事業主単位である必要があります。どういうことかと言うと、例えばAバーガーというハンバーガー屋さんがあり、本社は株式会社Bであったとします。Aバーガーには支店が100店舗あります。そこで、本社は100店舗分の助成金支給を申請しようとしました。しかし、これはNGです。申請できるのは事業所単位ではなく事業主単位ですので、申請できるのはこの場合株式会社Bバーガーの1か所のみとなります。

 

仕事と介護の両立に関する職場整備の取組を行っている

厚生労働省の指定する様式を使い、以下4つの取り組みを行います。

 

(1)労働者の仕事と介護の両立を把握する

厚生労働省が指定する書式「仕事と介護の両立実態把握アンケート」を使い、職場の雇用保険被保険者全員を対象にアンケートを実施します。アンケートは回収率3割以上または回収数100以上が必要です。

(2)制度設計・見直し

(1)で実施したアンケートを元に、アンケート実施日の翌日以降に厚生労働省が指定する資料により自社の仕事と介護の両立支援制度を把握し、自社の制度内容を見直し「改正育児・介護休業法」に沿った制度を導入します。「改正育児・休業法に沿った制度って何?どうすればいいの?」と思われる方、以下リンクから簡易版の育児・介護休業等に関する規則の規定例を確認することができます。この内容を参考に、自社の制度を変更すればOKです。

育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_08_01.pdf

(3)介護に直面する前の労働者への支援

(2)で制度を導入した施行日の翌日以降、介護に直面する前の労働者に対して人事労務担当者が社内研修を行います。「介護に直面する前の労働者って何?」と思われる方、いらっしゃいますよね。

例えば、(1)で実施したアンケートでAさんが「母に病があり、時期によって動けなくなることがあり、身の回りの世話をする必要がある。現在は父が面倒を見られるが、父が不在の場合や今後について不安がある。」といった内容の報告をしていたとしましょう。

このようにアンケートに記入したAさんは、紛れもなく「介護に直面する前の労働者」であり、会社が放置してはいけない社員なのです。Aさんへ、介護に関する研修を行うだけでなく、会社としてできる介護支援の資料を渡すなどして周知することが必要です。

(4)介護に直面した労働者への支援

既に介護中の労働者については、相談窓口を設置し周知することが必要です。相談窓口は担当者の指名・電話番号・メールアドレスなど相談先が特定できることが必要です。「介護制度については〇〇課に聞いてみて」ではなく、「介護制度については〇〇課の〇〇さんが担当だよ。電話番号は〇〇でメアドは〇〇だよ。」とここまで教えてあげなくてはいけません。

相談窓口担当者は、社内研修を受講または実施できるレベルでいなくてはなりません。また、介護に直面した労働者だけでなく全ての労働者に厚生労働省の指定する「仕事と介護の両立準備ガイド」を使用し、社内にこんな介護制度があるよということを周知しなくてはなりません。

上記でご紹介した支給要件は、厚生労働省のホームページからチェックリストをダウンロードすることが可能です。より詳しい条件もございますので、ご興味のある方は以下よりチェックしてみてください。

介護離職防止支援助成金 支給要件チェックリスト

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000140507.pdf

 

まとめ

今後、日本の人口の高齢者率はますます高くなる一方です。将来的に自社の経験豊富な人材を確保したいのであれば、本記事でご紹介した助成金をもらうのが得策といえるでしょう。

助成金の制度や支給要件は頻繁に変更されますので、申請したい事業主の方は早めに対策をしていきましょう。