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キャリアアップ助成金を理解するために必要な7つのポイント

企業が経営を行っていく上で必要となる様々な資金。

従業員を雇うことや、職業訓練を行うにしても費用がかかります。

ある一定の条件を満たし政府からの助成金を受け取ることができれば、返済不要の資金調達を行うことができます。

助成金にはいくつかの種類があり、それぞれ利用できる条件や申込期間、金額が異なります。

厚生労働省が交付する助成金のほとんどが従業員の雇用や就労環境を整えることを目的とした助成金なので、起業しこれから従業員を雇用しようとお考えの方や従業員の教育のために研修を行おうとお考えの方などは助成金を上手に活用しましょう。

今回は助成金の一つである「キャリアアップ助成金」についてご説明します。

1.キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金はパートやアルバイト、契約社員等の非正規雇用者を正社員としての正規雇用に転換したい場合や、雇用契約期間が決まっている従業員に研修を行うなどの人材の育成を行う際に利用することが出来る助成金です。

また、雇用の契約期間がきまっている従業員の処遇制度を整えることなど、処遇改善のために利用することもできます。

3つの利用目的の他にキャリアアップ助成金は全部で6つの種類に分かれています。それぞれの申請方法と受給条件について確認していきましょう。

2.キャリアアップ助成金の対象事業主

キャリアアップ助成金の制度を利用出来る事業主を確認しましょう。また、中小企業と大企業では受け取ることが出来る助成金の金額が違うので、それぞれの事業で定められた大企業の判定基準も併せて確認しましょう。

 

3.正社員化コース

パートやアルバイト、契約社員の方を正規の従業員に転換し雇うときに利用できる助成金です。

昨今、労働人口が減少したことに伴い、特に中小企業等での人手不足が多く見受けられます。

アルバイトや契約社員等の非正規の従業員を正社員などの正規の従業員に転換し雇用することで会社の戦力となり、人員不足の問題解決の第一歩となるでしょう。

①支給要件

・契約期間が決まっているパートやアルバイト等の非正規の雇用で通算6ヶ月以上働いていた従業員、契約期間が決まっている従業員が会社が行う職業訓練などを受け、修了していること

・パートや契約社員、アルバイトなどの非正規の雇用から正社員の正規雇用へ転換し雇用するキャリアアップのためのキャリアアップ計画書をガイドラインに沿って事業所ごとに作成し、管轄の労働局の認定を受けていること

・キャリアアップ助成金の正社員コースを申請する約6ヶ月前までに、非正規雇用から正規雇用への転換が既存の制度に基づいて実施されていると示すことが出来る「就業規則」や「労働協定」の作成・改定すること

・パートやアルバイトの非正規雇用従業員を含む社員数が10人を超える会社の場合、キャリアアップ助成金の正社員雇用に関する内容が書かれた「就業規則」や「労働規定」を管轄の労働基準監督署へ事前に提出すること

・キャリアアップ計画書を作成し労働局の認可を受けてから1ヶ月経過後に訓練を実施すること(転換のみは認定の翌日以降)

・過去の6ヶ月間に会社の都合による退職者が出ていないこと

②キャリアアップ助成金の正社員化コースで受給できる金額

正社員化コースで受給できる金額は、正社員に転換する前の雇用形態が何であったかによって異なります。

正社員へ転換する前が雇用期間の契約に期限がある有期雇用労働者であった場合、雇用期間の契約に期間がない無期雇用労働者であった場合、転換前が派遣労働者であった場合などで受給金額が変わるので確認しましょう。

③申請の流れ

・少なくとも助成金を申請する6ヶ月前に管轄の労働局に提出し受理された上で運用されているキャリアアップ計画書を作成

・キャリアアップ助成金の正社員転換の制度を導入した就業規則の作成

・6ヶ月以上パートやアルバイトなどの契約期間に期限がある従業員として雇用されていた従業員を、正社員または契約期間の期限がない従業員として雇用する

・契約期間がある従業員を、正社員や契約期間の期限がない従業員に転換してから雇用し、6ヶ月が経過後、キャリアアップ助成金の支給申請を行う

④申請に必要なものを知ろう

キャリアアップ助成金の正社員化コースの申込要件にもある通り、「就業規則」と「キャリアアップ計画書」の作成・提出が必要です。

就業規則に関しては、非正規の従業員を正社員等の正規の従業員として雇用する制度の内容がふくまれた就業規則を作成し、管轄の労働基準監督署に提出し認可を受けておく必要があり、申請の6ヶ月前には作成し実際に運用されていると認められる必要があります。

キャリアアップ計画書も同様に、キャリアアップ助成金を申請する際の担当者や流れ、非正規の従業員が正規の従業員として雇用される目的についてなどを計画書にまとめ、少なくとも6ヶ月前に作成し管轄の労働局長に提出し認可されている必要があります。

2.人材育成コース

キャリアアップ助成金のコースの一つに、パートやアルバイト、契約社員などの非正規の従業員の育成のために講習や研修を行う費用を受給できるものがあります。

労働契約期間に期限がある有期契約労働者の方の職業訓練を行い、会社の戦力として活躍してもらうためのキャリアアップを目的として事業主の方に助成を行うものです。

①支給要件

・キャリアアップ助成金の人材育成コースを申請する事業主の方が雇用している、非正規の期限あり労働者の職業訓練を行うことが目的であること

・人材育成コースの内容を含んだキャリアアップ計画書を作成し労働局長の認可を受け、少なくとも申請の半年前から運用されていること

・キャリアアップ計画書を提出し受理されてから1ヶ月経過後~6ヶ月以内に職業訓練を受けていること

・非正規雇用の従業員が職業訓練を開始するまでにキャリアコンサルタントからの面談を受けジョブカードを交付してもらっていること

・非正規雇用の従業員の職業訓練期間が3か月以上6ヶ月未満で行われること

・職業訓練の総合時間が会社の仕事をしながら身に着ける訓練であるOJTが占める割合が1割以上9割以下の範囲内であること

・職業訓練の総合時間が6ヶ月あたりの時間数に換算し425時間以上あること。つまり1ヶ月の職業訓練にかける時間が7時間以上であること

・職業訓練が終了した際に評価シートによる職業能力評価を行うこと

・過去6ヶ月間の間に会社の都合で退職したものがいないこと

②受給金額

非正規雇用の従業員が職業訓練を受けキャリアアップを図るための助成金は、職業訓練の種類と時間によって異なります。

・OFF-JTの支給額

・OJTの支給額

③申請の流れ

・非正規雇用の従業員の職業訓練が開始する1ヶ月前までにキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局長の認可を受ける

・訓練計画書を作成し管轄の労働局へ提出

・キャリアアップ計画書を管轄の労働局に提出してから6か月以内に労働訓練の実施を行う

・職業訓練の期間が終了してから2か月以内に管轄の労働局へ必要書類を提出

④申請に必要なものを知ろう

申請要件にもある通り、管轄の労働局長の認可を得たキャリアアップ計画書や職業訓練計画書、また職業訓練を実施した報告書の提出が必要になります。その他にも申請にはさまざまな書類が必要になるのでしっかり確認しておきましょう。

4.処遇改善コース

パートやアルバイトの方などの雇用期間が決まっている従業員の賃金規定などの見直しを行い昇給を行った際に事業主の方に支給される助成金です。契約期間が決まっている従業員の給与を上げることによって処遇改善をおこないキャリアアップを図るための制度です。

①支給要件

・申請を行う事業主が雇用している、契約期間が決まっている従業員が対象であること

・処遇改善コースの内容が含まれたキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局長へ提出、認可されている

・作成したキャリアアップ計画書に沿って賃金規定の改定を行う(賃金規定改定の際は以下の条件を満たす必要がある)

②受給金額

受給金額は一人当たり1万円で、1事業所につき1年度100人までです。また処遇改善コースを利用する際に職務評価を活用した場合、1事業所あたり10万円を加算し受給することができます。

大企業の場合は1人あたり7万5千円、職務評価を活用した場合には7万5千円が加算されます。

※職務評価とは

業務の内容や責任の程度をいくつかの手法を用いて分析・比較し、業務をおこなっている従業員の処遇が業務の大きさに伴っているかどうかを把握するものです。

③申請の流れ

・契約期間が決まっている従業員の雇用主が、ガイドラインに沿って処遇改善の内容を含んだキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出・認可を受ける

・賃金規定とうの改定を申請の6か月前には行い、賃金の増額を行ってから6か月分の給与を従業員に支払ってから2か月以内に必要書類を管轄の労働局へ提出

④申請に必要なものを知ろう

管轄の労働局長に提出し認定をうけたキャリアアップ計画書の作成が必要で、改定前後の賃金規定も必要です。その他にも様々な書類が必要なので確認しておきましょう。

5.健康管理コース

健康管理コースは契約期間が決まっているパートやアルバイトの方の健康診断を行い、法定の診断科目以外の診断科目の診断を4人以上おこなった場合に事業主の方が受給できる助成金です。契約期間がきまっている正社員以外の従業員の方の健康管理を行うことでキャリアアップを図る制度です。

①支給要件

・パートやアルバイトなどの契約期間が決まっていて、申請を行う事業主のかたが雇用していること

・健康管理コースの内容を含んだキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出・認定を受けている

・法定外の健康診断科目を規定・実施していること(以下の条件を全て満たしている必要がある)

②受給金額

1事業所40万円で、大企業の場合は30万円です。

③申請の流れ

・健康管理の内容を含んだキャリアアップ計画書を作成し、管轄の労働局へ提出・認可を受ける。

・キャリアアップ計画書の認可を受けたのちに健康診断の制度を導入

・契約期間が決まっている従業員のうち4人以上の法定外の健康診断を実施

・健康診断の実施をした日から2か月以内に申請書類を用意して管轄の労働局への申請を行う

④申請に必要なものを知ろう

管轄の労働局長に提出し認定をうけたキャリアアップ計画書の作成が必要で、健康診断の制度が導入される前後の就業規則や健康診断を実施した証明書などが必要です。そのほかにも必要な書類があるので確認しておきましょう。

6.短時間正社員コース

現在雇用している契約期間付きの従業員を短時間正社員として雇用する場合や、短時間正社員を新規で雇用した場合の事業主に支給される助成金です。また正規の従業員を短期正社員に転換し雇用するケースもあります。

①支給要件

・短時間正社員コースを申請する雇用主のもとで働いている契約期間がある非正規の従業員、または正規雇用の従業員が対象

・短時間正社員コースの内容を含むキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出、認定を受けている

・短時間正社員制度を導入するにあたって以下の条件を満たしている②受給金額

1人あたり20万円、大企業の場合は1人あたり15万円です。また、助成金の支給対象者が母子家庭の母または父子家庭の父であるケースは1人あたり10万円が加算さ支給されます。1事業所のつき1年度で10人が上限です。

②申請の流れ

・短時間正社員コースの内容を含むキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出、認可を受ける

・キャリアアップ計画書の認定を受けたのちに、短時間正社員の雇用や転換を行う

・短時間正社員への転換や新規雇用を行い、6か月分の給与の支払いをおこなってから2か月以内に必要書類を準備し管轄の労働局へ申請を行申請に必要なものを知ろう

管轄の労働局に提出し認定をうけたキャリアアップ計画書の作成が必要で、短時間正社員コースについて明記してある就業規則など他にも必要な書類があるので確認しておきましょう。

7.短時間労働者の週所定労働時間延長コース

契約期間があるパートやアルバイトなどの短時間労働を行う従業員の労働時間を長くして、社会保険が適用される労働条件のもと働いてもらう際に事業主に支給される助成金です。社会保険が適用される労働条件での労働によって短時間の労働者のキャリアアップを図ります。

①支給要件

・短時間労働者の週所定労働時間延長コースの内容を含むキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出、認定を受けている

・週の所定労働時間の延長を行っている

・以下3つの条件をみたす従業員すべて

②受給金額

対象者1人当たり10万円で大企業の場合は1人あたり7万5000円です。1つの事業所で1年度10人が上限です。

③申請の流れ

・短時間労働者の週所定労働時間延長コースの内容を含むキャリアアップ計画書を作成し管轄の労働局へ提出、認可を受ける

・キャリアアップ計画書の認定を受けたのちに、短時間労働者の労働時間の延長を行う

・労働時間を延長し6か月経過し、2か月以内に必要書類を準備し、管轄の労働局へ申請を行う

④申請に必要なものを知ろう

管轄の労働局長に提出し認定をうけたキャリアアップ計画書の作成が必要で、労働時間を延長した雇用契約書など他の書類も必要なので確認しておきましょう。