開業した個人事業主でも申請可能な補助金と助成金

開業した個人事業主でも申請可能な補助金と助成金 更新日:2021.12.08 公開日:2018.09.27助成金・補助金 – 取り組みやすい助成金
個人事業主の方必見!個人事業主でも申請可能な助成金と補助金

国や地方公共団体から給付を受け取れる補助金や助成金を利用したい個人事業主の人は多いと思います。とはいえ、要件の理解や申請方法など、補助金や助成金を利用するには事前に知識を得ておく必要があります。

とくに、補助金も助成金も事業や施策を実施してからでないと受け取れないため、開業資金には利用できない点や、助成金は従業員を雇っていても雇用保険に入っていないと使えない点などの注意点も存在します。

ここでは、個人事業主が申請できる補助金と助成金について解説します。

補助金と助成金を利用する条件

補助金と助成金を利用する条件は、以下のようなものが挙げられます。

  • 受給の要件を満たしている
  • 補助金を受給する場合、審査に通過している
  • 助成金を受給する場合、事業主が雇用保険に加入している

補助金と助成金には明確な定義の差はありませんが、補助金と名のつくものの多くは経済産業省が主導しており、受給するためには審査に通過する必要があります。そのため、補助金を受け取るには要件を満たしているだけでなく、審査に通るような事業計画が必要になります。

一方、助成金と名のつくものの多くは厚生労働省が主導しており、受給するためには雇用保険に加入している必要があります。そのため、完全に一人で行っている事業主は助成金を受けるのは難しく、家族や小規模で経営している事業主でないと採択されるのは困難です。

助成金には審査がなく、申請できれば受給できる可能性が高いので、雇用保険に加入しているなら助成金を、していないなら補助金の利用を検討するのがよいでしょう。

補助金と助成金は後払い方式が多く開業資金には利用できない

補助金も助成金も原則として後払い方式です。後払い方式とは、事業計画に則った経費の支払いを事業主側で立て替えておき、申請が通ったあとに国や地方公共団体からお金が払われる仕組みです。

補助金や助成金を受給するには時間がかかります。応募期間、審査期間、交付申請、事業実施を経てからの給付になるため、応募してから受給するまでに1年ほど期間がかかるケースが多いです。

そのため、補助金や助成金は開業資金として利用することは出来ません。開業資金を調達したい場合は、日本政策金融公庫や信用金庫などから融資を受けるか、出資を受ける必要があります。

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利用した経費の満額を受け取れるとは限らない

補助金や助成金の申請が通っても、支払っていた経費の満額が受け取れるとは限りません。これには「限度額」や「補助率」「助成率」というものが関係しています。

補助金や助成金で受け取れる金額は、「対象経費に補助率や助成率を掛けた金額」または「限度額の上限額まで」です。

たとえば、助成率が1/2の助成金を利用するため1,000万円の経費を使ったとします。この場合、この助成金の限度額が700万円なら、対象経費に1/2をかけた500万円まで受け取り可能です。一方、限度額が300万円なら、300万円までしか受け取れません。

また、補助金の場合は給付金の予算に限りがあるため、採択者が多い場合は、最初に公表されていた上限額よりも実際の給付額が下回る可能性があります。

このように、補助金や助成金は公表されている上限額を受け取れるとは限りません。そのため、補助金や給付金が満額受給されると思い、資金を使い切らないようにした方が良いでしょう。

個人事業主が利用できる補助金一覧

個人事業主が利用できる補助金には、次のようなものがあります。

補助金名

補助金額

補助率

対象経費

小規模事業者持続化補助金

~250万円

2/3 ※1

個人事業や小規模事業における販路拡大に関する経費

IT導入補助金

~450万円 

最大4/5

ソフトウェアの導入費用

ものづくり補助金

~4,000万円

2/3 ※2

生産力向上のためのサービス開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備資金

事業再構築補助金

~1億円

最大3/4

新分野展開、事業や業種の転換や事業再編に関わる経費

※1 ウェブサイト関連費のみ1/4

※2 中小企業の場合は1/2

いずれの補助金も、事業の改善や拡大に利用できますが、1つの取り組みに対しては1つの補助金しか利用できません。

たとえば、3Dプリンターを使った新商品の開発や販売において、完成した製品の広告費用は小規模事業者持続化補助金、プリンターのソフトウェア費用はIT導入補助金、3Dプリンターの導入費はものづくり補助金が利用できます。しかし、いずれも3Dプリンターを使った新商品に関する申請になるので、3つの補助金のうちいずれかの利用を選択する必要があります。

それぞれの補助金で公募要領は異なるため、申請する場合は実施する施策と親和性がある補助金を選ぶとよいでしょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路拡大や業務効率化の取り組みに支払われる補助金です。チラシやウェブサイトなどの広告に関する費用から、外注費、旅費など幅広い分野で使えます。

補助金額は最大で250万円までとほかの補助金に比べて上限額は低いものの、用途が広く個人事業主が申請しやすい補助金です

小規模事業者持続化補助金を申請するには、経営計画を策定する必要があります。また、申し込みには商工会議所の作成する事業計画書などの書類が必要になります。

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IT導入補助金

IT導入補助金とは、ITツールの導入に関して申請できる補助金です。ITツールに限定されるものの、勤怠管理システムやクラウドサービスなどの業務の効率化を図る有料ソフトの導入に対して申請可能です。

また、インボイス枠という枠で申請をすれば、他の補助金では申請できないパソコンなどのハードウェアを対象経費にして購入可能という特徴があります。

補助金額は最大450万円、補助率は最大4/5で、導入するツールなどによって補助金額や補助率が異なります。

IT導入補助金を申請するにはIT導入支援事業者に相談する必要があります。支援事業者ごとに導入できるツールが異なるので、IT導入補助金を利用する際は、導入したいITツールを扱っている事業者を選んで相談してみましょう。支援事業者を探す際は、IT導入補助金の公式サイトにある「IT導入支援事業者・ITツール検索」 を活用してください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が生産性向上のための設備投資を行うことを支援する補助金です。ものづくりという名前ではありますが、工業など実商品が必ず必要なわけではなく、サービス業の事業拡大や商品開発における費用にも適用されます。

ものづくり補助金は小規模事業者だと最大4,000万円が対象となり、補助率も2/3と他の補助金と比較して受給額が大きいです。ただし、補助金は利用した金額に対して後払いされるという性質上、申請するために事前に最低でも150万円の設備投資を行う必要があります。

また、ものづくり補助金は個人でも申請可能ですが、事業主が提出書類をすべて作成するのも難しいです。

ものづくり補助金の利用を検討する際は、専門家に相談の上、受給できるまでの間のキャッシュフロー計画を申請前に立てておいたほうが良いでしょう。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、業種転換や新分野展開など、事業の再構築に意欲的な事業者に給付される補助金です。

補助金額は最大1億円(グリーン成長枠スタンダード)と高額であるものの、申請する枠によっていくつかの要件を満たす必要があります。

例えば、最低賃金枠であれば以下のような要件があります。

  • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
  • 「補助事業終了後3~5年での付加価値額」もしくは「従業員1人当たりの付加価値額」が年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
  • 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること
  • 2022年10月~2023年8月のうち、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること

事業再構築補助金に申請するには、認定支援機関という専門家を利用することが必須要件となります。事業再構築補助金の申請にチャレンジしてみたい人は、専門家に相談しながら計画を練るのが良いでしょう。

補助金は電子申請する必要がある

当記事で紹介した補助金は、インターネットから行う電子申請でないと申し込めません

個人事業主が補助金の電子申請を行う場合、gBizIDプライムというgBizIDアカウントが必須になります。gBIZIDを取得した後は、jGrantsという日本政府公認サイトから補助金の申請を行います。

もし補助金の申請に関して専門家を利用するとしても、gBizIDは事業主が自分で取得しなければなりません。そのため、補助金申請をする予定があるのなら、事前にgBIZIDを取得しておくと良いでしょう。

個人事業主が利用できる助成金一覧

個人事業主が利用できる助成金には、以下のようなものがあります。

  • 雇用調整助成金
  • キャリアアップ補助金
  • 両立支援等助成金

全国で利用できる助成金は雇用に関するものですが、地震などの天災やコロナなどの疫病で売り上げが下がった場合に利用できる自治体の助成金もあったりするので、自分の住んでいる市区町村のホームページも確認してみることをおすすめします。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を目的として、主に休業手当に対して給付される助成金です。

助成の対象となるのは雇用保険被保険者に対する休業手当のため、アルバイトなどの雇用保険に加入していない人に対しては適応されません。

個人事業主が雇用調整助成金を利用する場合、解雇等を行わずに雇用を維持した場合は9/10まで、それ以外の場合で4/5の助成率で助成金が支払われます。

また、雇用調整助成金にも上限額があり、それ以上の支払いは行われません。たとえば上限額が10,000円の時に申請すると、休業手当が20,000円かかったとしても10,000円までの給付しか受けられません。

雇用調整助成金の上限額は時期によって変わるため、最新の情報は「厚生労働省の雇用保険助成金のホームページ」で確認してください。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用を正規雇用にする場合や、有期の契約で雇用していた人を無期の契約に変更した場合に受け取れる助成金です。

たとえば、店員を雇っている飲食店や美容院などの事業主が、契約社員を正社員にしたときにキャリアアップ助成金を利用できます。

キャリアアップ助成金の受給額は以下になります。

項目

一般

生産性の向上が認められる場合 ※ 

有期契約社員から正社員への切り替え

57万円

72万円

有期契約社員から向き契約への切り替え

28万5,000円

36万円

無期契約社員から正社員への切り替え

28万5,000円

36万円

※ 3年度前と比べて生産性が6%以上伸びていることが条件

生産性が認められる場合は、3年以上前から雇用保険適用事業主である必要があるため、開業から3年以内は要件を満たすことは出来ません。

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、従業員の家庭と職場を両立させている事業主に給付される助成金で、主に育児や介護による従業員の休業をサポートする取り組みをした事業主が受給できます。

たとえば、男性従業員に育児休暇を取得させた、または面談等で取得しやすい職場風土づくりの取り組みをしているなどの具体的な取り組みが必要になります。

両立支援等助成金には、以下のようなコースが存在します。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 育児休業等支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 女性活躍加速化コース

上記のように、出生や育児、介護の予定がある従業員を雇っている場合は、両立支援等助成金の申請を検討してみて良いでしょう。

給付額や細かい要件はコースごとに異なるので、詳細は厚生労働省の「両立支援等助成金の概要」で確認してください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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