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人事評価改善等助成金の「人事評価制度」を満たす8つの要件とは?

今年新たに厚生労働省により設定された人事評価等改善助成金は、企業が従業員の評価制度を改善することでもらえる助成金です。助成金をもらうには「必要提出書類の準備と申請」をする必要があるのですが、この中で最も大切なポイントの1つとして「提出する人事評価制度が8つの要件を満たしているかどうか」という点が挙げられます。

今回の記事では、人材評価改善等助成金での人事評価制度が認定されるかの8つの要件について解説していきます。

※人事評価改善等助成金の概要については当サイトの既存記事人事評価改善等助成金~平成29年4月1日新設~、提出書類については提出書類が多い?!人事評価改善等助成金の制度整備助成の申請方法とは?」を是非ご参照ください。

 1.労働組合または労働者過半数を代表するものの合意があるか

(1)合意書の提出が必要

人事評価改善等助成金の対象となる人事評価制度は、企業の役員などが勝手に決めて「明日からこの人事評価制度をスタートするから」と勝手に宣言するものであってはいけません。

労働組合または労働過半数を代表するものの合意を得る必要があります。

その理由として、この助成金の申請書類の一つとして労働組合または労働過半数を代表するものとの「合意書」があるのです。

合意書【様式第一号 参考様式3】

労働組合は日本国内で昨年2016年時点に2万5千組合あります。ご自身が事業主である場合は自分の経営する事業所に労働組合があるかどうかは把握していると思いますが、事業主の代わりに助成金申請の実務を任されている場合は、四季報・ハローワークの求人・ネット検索などから自社に労働組合があるかどうかを調べることもできます。

(2)労働者過半数を代表するものとは?

労働組合については「ある」「なし」を調べればよいのですが、その次に書かれている労働者過半数を代表するものとは一体何でしょうか?

この言葉は、文字通りに読むと従業員の過半数を代表するリーダーみたいな人物がいるようなイメージになりますよね。ここでのポイントは、リーダーは事業主側が決めるのではなく、労働者側が選出するということです。

また、労働者の過半数を代表するものについては以下の条件もクリアしている必要があります。

・労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではないこと

・「36協定を締結するものを選出する」や、「就業規則の意見書を提出する者を選出する」などの目的を明らかにした上で実施される投票、挙手等の方法による手続きを経て選出されたものであること(労働基準法規則第6条2)

1つ目に関しては重複するようですが、労働者の代表は監督や管理の地位にあってはいけないというものです。あくまで、企業内での一般庶民でなくてはいけないのです。2つ目の条件については、「リーダーは〇〇さんでいいよネ!」というように「適当に決めた人ではダメよ」というような内容が書かれています。

具体的には、投票・挙手(!)などの手続きを経ている必要があると厚生労働省の資料には書かれているので、少なくとも労働者参加の会議や打ち合わせで決定するべきでしょう。

(3)36協定について

36協定(さんじゅうろくきょうてい)という言葉は聞いた事がありますか?36協定とは、時間外・休日労働に関する協定届けのことです。労働基準法第36条に関連するため、36協定というネーミングになっています。会社が法定労働時間(1日8時間週に40時間)を超えて従業員に労働させる場合は、労働組合と書面を終結しなければいけないよ、という内容です。

 

2.評価の対象と基準が明確であり、労働者に開示していること

人事評価制度とは、簡単に言えば「〇〇ができたら〇〇円給料を上げるよ」「〇〇ができたら〇〇に昇格するよ」というように、何ができたらどのように評価するかという事柄を決める制度です。これに加え、「〇部の従業員が~」というように、対象者を明確にすることも必要です。

評価の労働者への開示については、以下のような補足もあります。

※能力・技能・資格・行動・コンピテンシー・努力・姿勢・情意、成果・業績など、労働者個人の意思によって向上させることができることが可能な項目を対象とするものであり、年齢または勤続年数のみで評価が一義的に決定されるものでないこと

つまり、この助成金の目指す人事評価制度は年功序列ではありません。能力主義なのです。さらに、性別や子供の有無も関係ありません。本人が努力すれば成しえること(能力・技能・資格・行動~)が条件で、条件をクリアしたら給料アップ・昇格・手当の追加などをしますよ、という内容でなくてはいけません。

日本は欧米に比べ年功序列がまだまだ根強いお国柄ですので、厚生労働省はこの助成金をきっかけに「日本の人事制度を年功序列から能力主義へと変換させていく」ことを目的としています。何故なら、日本は先進国の中でも生産性が低い国なのです。長時間労働して、残業もたくさんしてウツ病で自殺する人がいる程働いている国なのに、生産性は低い。

生産性を高くすると、残業も減りみんなが自分の時間ももつことができ、みんながハッピーになるのではないでしょうか。

3.評価が年1回以上行われるものであること

どんなに良い人事評価制度を作ったとしても、評価のサイクルが極端な話「4年ごと」などと長期スパンの場合は、労働者のやる気は出ないですよね。少なくても年1回の評価、理想的には年2回以上の評価をする仕組みを確立することが求められます。

例えば、年度初めから3か月たった7月に1度目の評価、そして半年後の12月に2度目の評価、といった具合です。定期的に経営者が労働者を評価すると、労働者は「ちゃんと見てくれているな」と感じ、労働者のモチベーションアップにつながります。

普段の忙しい業務の中では労働者はなかなか立ち止まって自分の仕事を振り返ることができません。しかし、きちんと時間をとり自分の仕事ぶりを振り返ることは今後の仕事の効率上昇にもつながります。

4.人事評価制度に基づく評定と、賃金(諸手当、賞与を含む)の額またはその変動の幅・割合との関係が明確であること。

こちらについては、以下の表を使ってご説明したいと思います。ちなみに、このような賃金の表のことを「給与テーブル」とも呼びます。

【通信系コールセンター/A社の場合】

私の所属していた通信系コールセンターの場合、まずは会社についての研修から始まり、続いて担当の商品についての研修を受けます。研修を受けたからといってすぐに電話に出られるわけではありません。

まずは先輩や同期とお客さん役になり、イメージトレーニングを繰り返します。その後、ついに電話に出る事を「デビュー」、そしてより難しい内容の問い合わせに対応できるにつれ、一時受け・二次受けというように任される問い合わせのレベルが上がっていきます。私の場合は月給ではなく時給制で働いていましたが、やはり定期的に時給をあげてもらいました。その代わり、自分がミスをする、遅刻欠勤が多い、などの場合は、時給を下げる・契約を更新しない、ということもありました。

5.賃金表を定めているものであること

賃金上は、上記であげた表にも似ているのですが、一般的には以下の項目を網羅している表のことです。

  • 給与形態(〇年俸、月給、時給)
  • 対象人数
  • 等級
  • 世帯形成
  • 標準年数
  • 昇給レンジ
  • 役職

賃金表は、会社の特色や雇っている労働者の種別により項目は変化します。工場で働いているパートの主婦の方が多い場合は時給制で就業日数という項目も必要ですし、ホテルの場合は働いている部門(フロント部門、調理部門)などで賃金の割合は変わります。

6.上記2.と3.を労働者に開示していること

②は、「評価の対象と基準が明確であり、労働者に開示していること」で、③は「評価が年1回以上行われるものであること」です。③については開示しても何ら問題はないと思うのですが、賃金評価の基準を開示することについては、企業により賛同派と反対派があるようです。

法的には、給与テーブルを開示しなくても罰則はありません。就業規則に絶対載せなくてはいけない項目としては、給与の計算・決定・支払い方法・支払い時期・昇給についてですが、具体的な賃金額の明示は義務付けられていません。

しかし、この人事評価改善等助成金を目指しているのであれば開示する必要があります。

7.人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較したときに、「毎月決まって支払われる賃金」(以下「賃金」)(※)の額が2%以上増加する見込みであること。

これについては、具体的に計算した方がよさそうです。先ほどのコールセンターの賃金の例をとってみましょう。

初任給は19万円だとします。2017年6月に19万円の給与は、翌年2018年6月には+2%以上アップしている見込みが必要です。19万円の2%とは、3800円です。同じ職場、同じ形態で同じ労働者が働いた場合、19万円の初任給は最低でも1年後に193,800円にアップしていないといけません。

ちなみに、この規定は※基本給および諸手当(時間外手当、休日手当を除く)を対象としています。

また、この規定に関してはもう1つの方法があり、いずれかを選択しクリアすればよいです。2つ目の方法をご紹介します。

1.年齢ごとのモデル賃金を設定

まず、24歳から59歳までのモデル賃金額を設定します。24歳は19万円、25歳は19万5千円~というようにします。

2.評価したい人物の年齢の在籍者数×モデル賃金を乗じる(かける)

そして、例えば24歳の在職者数である50名とすると、24歳のモデル賃金19万円と50名を乗じます。

 

190,000×500,000=9,500,000

 

3.在職者全員分のモデル賃金が1年後に2%以上増加する見込みがあること

2.で求めた合計額が2%以上増加する見込みであること、という内容です。

結局、1つ目の方法でも2つ目の方法でも計算する人数が変わるだけで計算方法は変わりません。

8.人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較し「毎月決まって支払われる賃金」の総額を2%以上増加させることについて、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること。

これについては、①でもお伝えした内容と関連します。人事評価制度の改善を労働組合などに認めてもらうだけでなく、給料アップ(2%以上)についてもきちんと報告して認定されること、という条件です。

給料アップを提案されて反対する人は基本的にいなそうなので、これについての手続きは簡単だと思います。

まとめ

いかがでしたか?8つの項目のポイントは、人事評価制度の改善を労働組合などに認めてもらうこと、そして賃金アップの基準や額面・等級などの給与テーブルを作成し公表すること、というのが主なものです。是非、参考にして人事評価改善助成金を目指してください。