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障害者の職場定着を!障害者職場定着支援奨励金とは

障害者雇用支援の助成金は複数ありますが、今回は障害者雇用安定奨励金についてご紹介します。

他の助成金は障害者の労働しやすいように施設の整備や職業訓練をした事業主に対して支給されますが、障害者雇用安定奨励金の目的は障害者の雇用促進と職場定着を目的としています。

1.助成金と奨励金の違いは?

助成金も奨励金も、厚生労働省が中小企業向けに行っている支援です。支給要件をクリアし申請した事業主に向け、一定の支給額が振り込まれます。このお金は、返済不要です。

申請期限中に対象事業主が必要書類を提出し認定されたらお金がもらえる、ということ自体は助成金も奨励金も変わりありません。しかし、助成金の場合原則として事業主が雇用保険に加入していないともらえません。

また、言葉の意味として「助成」と「奨励」には以下のような違いがあります。

  • 助成・・・援助する、補助する
  • 奨励・・・よい事だとして、それを行うよう勧める

助成については、まず事業主がある事業を主体的に行った場合、それに対して補助しますよという意味合いがあります。そのため、助成金は原則後払いです。もらえる助成金をアテにして資金繰りを考える事はできません。

奨励については、厚生労働省が主体的にある事業を行いましょう、と勧めているイメージがあります。奨励金については厚生労働省だけでなく多様な団体が実施していますが、厚生労働省の行う奨励金については同じく後払いです。

2.障害者雇用安定奨励金の目的

障害者をもっと働きやすくするためには、事業所を車いすが通りやすい施設にする、障害者に合った仕事内容、といった事も大事ですがそれだけでは十分ではありません。

障害者が仕事をしやすいように、現場で継続的にフォローする人間が必要です。しかし、実際問題として事業所では障害者専用の人員をまかなうことは難しいでしょう。

そんな中、この奨励金を通し専門知識を持つ職場支援員の設置を定着させたいという意図が厚生労働省にはあるのです。そうすることで、もっと気軽に障害者を雇用でき障害者も安心して仕事を取り組むことができます。また、精神保健福祉士、社会福祉士などの専門知識のある職場支援員の雇用も新たに生まれるというメリットもあります。

3.障害者雇用安定奨励金の支給要件

大まかに言うと、①障害者を雇用し②職場支援員を設置することで奨励金がもらえる仕組みになっています。

細かく言うと、①の障害者と②の職場支援員の設置には以下のような規定があります。

①対象の障害者

  • (1)身体障害者

  • (2)知的障害者

  • (3)精神障害者

  • (4)発達障害者

  • (5)難治性疾患のある方

  • (6)高次脳機能障害のある方

また、これらの障害者を65歳まで継続して2年(精神障害者の場合は3年)以上継続して雇用する見込みがあることが条件です。

②対象の職場支援員の経歴の条件

  • (1)精神保健福祉士、社会福祉士、作業療法士、臨床心理士、産業カウンセラー、看護師、保健師又は障害者雇用促進法第24条に規定する障害者職業カウンセラーの試験に合格しかつ指定の講習を修了した者

  • (2)特例子会社又は重度障害者多数雇用事業所での障害者の指導・援助に関する実務経験が2年以上ある者

  • (3)障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などの障害者の就労支援機関において、障害者の就業に関する相談の実務経験が2年以上ある者

  • (4)障害者職業生活相談員の資格を有する者であって、資格取得後3年以上の実務経験がある者

  • (5)職場適応援助者養成研修修了者である者

  • (6)労働安全衛生法第13条に基づく必置の産業医以外の医師

当たり前ですが、職場支援員は雇用される障害者と同一の職場で働くものでなくてはいけません。また、一人の職場支援員で4人以上の障害者を担当することは許されません。3人以下であることが原則です。

これに加え、以下③と④の条件があります。

 

③雇用保険適用事業所の事業主であること

どの助成金をもらうのにも必須の条件です。

 

④紹介による雇用であり、雇用保険被保険者として登録する

公共職業安定所もしくは地方運輸局または有料・無料職業紹介事業者等の紹介により、雇用保険被保険者として雇い入れることも条件の1つです。

その他、過去3年以下に不正受給をしていないか、対象の障害者は過去に雇用関係にあったものではないか、労働保険料を滞納していないか、暴力や風俗関連の事業をしている事業所ではないのか、などの、助成金をもらえない事業主についての条件も規定されています。

詳細は、以下リンクをご参照ください。

各雇用関係助成金に共通の要件等

4.支給額と支払いについて

支給額は、障害者雇用一人につき〇万円という計算で支払われます。詳細をみていきましょう。

①短時間勤務かそうでないか

この助成金の支給額は、短時間勤務かそうでないかの違いで異なります。短時間労働とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所で働く他の労働者と比べ短く、週に30時間未満の労働者を指します。

中小企業以外 中小企業
短時間労働者以外 3万円/月 4万円/月
短時間労働者 1.5万円/月 2万円/月

ちなみに、職場支援員の労働時間は雇用される障害者の労働時間よりも短くあってはいけません。

②支給期間は2~3年間で半年ごと

支給期間は2年間です。精神障害者の雇用の場合は3年間です。支給は毎月振り込まれる訳ではなく、半年ごとに支給額を計算してから振り込まれます。

対象の障害者が退職してしまった月からは、もちろん支給されません。

③職場支援員の雇用形態により異なる支給額

上記でお伝えした支給額は、雇用した職場支援員が直接雇用または業務委託の場合の金額です。

委嘱(いしょく)の場合は、以下の規定があります。

 

「委嘱による支援回数 × 10,000円を支給します。

ただし、支援を実施した月数に上表の対象労働者1人当たりの月額を掛けた額が上限となります。」

 

委嘱(いしょく)って何?

委託という言葉はよく聞きますが、委嘱とは一体何でしょうか?簡単に言うと、ある人にこれをしてください、とリクエストすることです。委託の場合は、自分のすべき仕事を他の人に任すという意味合いですので、最終的な権限は自分にあります。

しかし、委嘱の場合は権限も仕事自体も他の人に任せます。

5.手続きについて

①起算日とは

奨励金をもらうには、起算日から3か月以内に手続きをする必要があります。起算日とは、対象の障害者を紹介で雇用する日または対象の職場支援員を配置する日のいずれか遅い日を言います。

 

【例】障害者Aさんを7月1日、職場支援員Bさんを7月4日に雇う場合

起算日⇒7月4日 

となります。7月4日から3か月以内の10月3日までが申請期限です。

 

②手続きは2段階

まず、この奨励金をもらうには支給認定という認定を労働局より受ける必要があります。失業保険をハローワークでもらうために必要な手続きと同様です。

支給認定を受けたら、上記でご説明しました起算日から3か月以内に今度は支給申請を行います。

③必要書類

  • ・「受給資格認定申請書」
  • ・支給申請書

 

この他にも必要な書類がある場合があるので、詳細はお近くの労働局へお問い合わせください。

全国労働基準監督署の所在案内

 

6.併用してもらってはいけない奨励金・助成金リスト

障害者雇用系の奨励金・助成金は複数ありますが、本奨励金の対象となる障害者および職場支援員は以下と併用することはできません。

①対象:雇用される障害者

  • ア 本奨励金

  • イ 企業在籍型職場適応援助促進助成金

  • ウ 重度知的・精神障害者職場支援奨励金

  • エ 職場支援従事者配置助成金

  • オ 業務遂行援助者の配置助成金

②対象:職場支援員

  • ア 本奨励金

  • イ 企業在籍型職場適応援助促進助成金

  • ウ 訪問型職場適応援助促進助成金

  • エ 重度知的・精神障害者職場支援奨励金

  • オ 職場支援従事者配置助成金

  • カ 業務遂行援助者の配置助助成金

まとめ

障害者の雇用に興味はあるが、実際に雇用しても長続きできるのか心配な方も多い事でしょう。障害者雇用安定奨励金は最大3年間もらえるという長期の支給が魅力です。この制度を上手く利用し、職場支援員の導入を検討してはいかがでしょうか?

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