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【2018年新設】人材確保等支援助成金は人事評価改善等より条件が厳しめ?!

2018年に新たに始まった助成金の目玉である人材確保等支援助成金。中小企業が使える雇用系の助成金で新たに核となる助成金で、今年度唯一の新設です。

一体どのような助成金なのでしょうか?

1.また名前が変更!「人事評価改善等助成金」などが統合された助成金

厚生労働省の募集する中小企業の雇用系の助成金の名称は近年、頻繁に変更されています。今回ご紹介するのは、人材確保等支援助成金です。以下3つの一部コースが整理統合されて新たに平成30年度からスタートした助成金です。

分かりにくいので、図にしてみました。全6のコースから成る助成金です。この中で「設備改善等支援コース」のみ新設で、残りは既存の助成金から移動してきたコースです。

いずれのコースも、助成金を得るのであればまずはコースごとに指示されている計画(ex.雇用管理計画制度整備計画など)を事業者が作成し労働局へ提出し認可される必要があります。

「人材確保」という雇用系のニオイのする名の助成金ですが、なぜか介護福祉機器の購入についての助成金もコースとしてこの助成金の一部へ組み込まれています。個人的には、介護系は介護系の助成金でまとめた方が万人にはわかりやすいと思います。

2.各コースの概要を見てみよう

では、6つのコースの内容を簡単にご紹介します。いずれのコースも、生産性要件をクリアすることでもらえる支給額がアップします。生産性要件については、当サイトの以下記事をご参照ください。

もらえる助成金の額がアップ!絶対知っておきたい生産性要件とは何か?

①設備改善等支援コース

(1)概要

人材確保等支援助成金の唯一の新コースである設備改善等支援コースは、「事業所が設備を導入することで生産性が向上し雇用管理改善するのであれば助成金を支給するよ」という制度です。何だかこの文面だけだとイマイチ意味がわかりませんね。

【設備改善等支援コースのキーワード】

  • 生産性の向上
  • 雇用管理改善(賃金アップ)

生産性の向上で思いつくのは、銀行や携帯屋さんでの「いらっしゃませ」と接客するスタッフの方です。先日、筆者はソフトバンクに行きましたがロボットのペッパー君に15分程度相手をしていただきました。ペッパー君は100万円以上するかもしれませんが、その人件費を考えたら生産性は非常に向上します。この話は冗談ではなく、事業主がICT化・自動化装置等のハード面を強化することでの生産性向上を目的としています。

また、雇用管理改善で思いつくのはテレワークでしょうか。交通費の支給をカットできるため、その分を多少賃金に上乗せすることは可能です。特に最近は日本の平均気温が熱くなっているので、テレワークを導入できるタイプの事業(IT系)は導入するメリットは高そうです。

(2)受給額

では、このコースで支給される助成金額についてみていきましょう。このコースでは1年タイプ、2年タイプと計画の年数によってもらえる受給額が異なります。

【雇用管理改善計画期間1年タイプ】

助成金支給額 支給条件
計画達成助成(50万円) 賃金アップ等の目標達成2%以上
上乗せ助成(80万円) 生産性向上・賃金アップ等の目標達成

6%以上

(計画開始前のの賃金と比較)

※設備導入費用が175万円以上1,000万円未満、 中小企業のみ対象

事業主が提出した計画のスタート日の前と比べて、計画期間内に目標の要件を達成すると計画達成助成が支給されます。上乗せ助成に関しては計画の末日の翌日から1年後の日から1年間の間に目標の要件を達成すると支給されます。

図をご覧ください。計画達成と上乗せ助成の両方を支給されるためには、計画達成助成が終了した翌日から上乗せ助成が開始となるため、足掛け2年以上が必要になります。

【雇用管理改善計画期間3年タイプ】

雇用管理改善計画期間3年タイプ 計画達成助成

1回目

計画達成助成

2回目

目標達成助成
設備導入費用 240~

5,000万円未満

支給額 50万円 50万円 80万円
5,000~1憶円

未満

50万円 75万円 100万円
1億円

以上

100万円 150万円 220万円

3年タイプの場合、1年ごと3年間にわたり導入する設備費用の金額による支給額が振り込まれます。賃金アップ上昇率の目標は、1回目で2%以上、2回目で4%以上、上乗せ助成では6%以上となっています。

この計画をどのように立てるのか、非常に時間を割くところだと思います。実現できれば、事業所自体の業績もアップすることでしょう。

詳細は、以下の厚生労働省作成の公式パンフレットも是非ご覧ください。

設備改善等支援コース|厚生労働省

②介護福祉機器助成コース

(1)概要

職場定着支援助成金の中にあった介護福祉機器助成コースがこちらの助成金に移動し組み込まれてきました。職場定着支援助成金は簡単に言うと、「事業所が魅力的で働きやすい職場となり、簡単に人が辞めづらい環境を作っていこう!」という趣旨の助成金でした。

離職率ダウンを目指す!職場定着支援助成金をもらうために知っておきたい6つのこと

※職場定着支援助成金の概要については、上記URLをクリックすると当サイトの既存記事にリンクします

事業所側もすぐに人材が辞めてしまうと時間もお金もムダですし、働く側にとっても能力も賃金もアップしないですからね。

(2)変更点

さて、この介護福祉機器助成コースは介護事業主が介護福祉に必要な機器を導入するための金銭的な支援をする制度です。平成30年からはこの介護福祉機器助成コースで助成対象となる機器に以下のものが増えました。

  • 非装着型移乗介助機器
  • 装着型移乗介助機器

どんな装置なのか調べてみると、いずれも介護ロボットのようです。ついに介護をロボットがする時代に突入したのですね。これらの購入経費を申請して審査に通過すれば、合計額の25%まで(上限150万円)が支給されます。

 (3)受給額

助成対象費用 支給額
介護福祉機器の導入費用(利子を含む) 【機器導入助成】

左記の合計額の25%(上限150万円)

【目標達成助成】

左記の合計額の20%(上限150万円)

※生産性要件を満たした場合は35%

保守契約費
機器の使用を徹底させるための研修

支給される金額は【機器導入助成】と【目標達成助成】の大きく分けて2つに分けられます。ただ機器を買うだけの場合は機器導入助成(購入額合計の25%)です。そして、機器を購入したことで従業員の離職率が下がった(目標達成した)場合はさらに追加で目標達成助成(購入額合計の20%)が、生産性要件というスペシャルな条件をさらにクリアすることで購入額合計の35%が支給されます。

つまり、全部条件をクリアすると最大で80%(25%+20%+35%=80%)、最大150万円が支給されるという助成金です。介護機器は1点1点が高額ですので、これは非常に大きな助成ですね。

③介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

職場定着支援助成金の保育労働者雇用管理助成コースと介護労働者雇用管理助成コースが統合され、一つのコースにまとまりました。名称だけの変更で、内容自体は以前と変更はありません。

離職率ダウンを目指す!職場定着支援助成金をもらうために知っておきたい6つのこと

※職場定着支援助成金の概要については、上記URLをクリックすると当サイトの既存記事にリンクします

④中小企業団体助成コース

(1)概要

このコースは事業者向けのものではなく、事業協同組合向けの助成金です。以下のサイトで検索したのですが、なんと全国に事業協同組合は3239もあるそうです!

全国中小企業団体中央会|日本全国の組合のホームページ検索

※上記URLをクリックすると、全国中小企業団体中央会の公式ページにリンクします

支給のための条件は2つあります。

  1. 改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受ける

  2. 組合員である中小企業者のために中小企業労働環境向上事業を実施する

どちらの条件もハードルが高そうですが、2つ目の中小企業労働環境向上事業に関しては別紙で細かく規定があります。計画だけではなく調査事業や労働環境向上検討委員会の設置なども 必要です。全組合をあげて取り組まないといけない内容となっています。

実施期間は1年間ですので、計画作成から考えると最低1年半はこの助成金受給までに時間を要します。

このコースに関しても、やはり支給条件の一つ目のステップは「計画」です。とにかくプランニングが助成金取得には大切なのですね。

(2)受給額

【受給額】

認定組合等の区分 上限額
大規模認定組合等(構成中小企業者数500以上) 1,000万円
中規模認定組合等(構成中小企業者数100以上500未満) 800万円
小規模認定組合等(構成中小企業者数100未満) 600万円

受給できる額は組合ですので、非常に高額です。小規模認定組合でも上限600万円まで受給できます。詳細は、以下の厚生労働省作成の公式パンフレットも是非ご覧ください。

人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)のご案内

⑤人事評価改善等助成コース

(1)概要

人事評価改善等助成金がこの助成金の一つのコースに統合されました。どのような助成金かと言うと、生産性向上を目的とするための人事評価制度を導入した事業主に対して助成金を支給するというものです。日本では既に終身雇用制は崩壊していますが、この助成金をきっかけに職場でもますます生産性を重視するようにシフトしていくことでしょう。

人事評価改善等助成金については、当サイトの以下既存記事も是非ご覧ください。

人事評価改善等助成金の「人事評価制度」を満たす8つの要件とは?

提出書類が多い?!人事評価改善等助成金の制度整備助成の申請方法とは?

どっちがもらいやすい?人事評価改善等助成金と職場定着支援助成金の違いとは?

(2)変更点

平成30年度より、支給条件が1点大きく変わります。今までは計画実施から1年後にもらえる助成金でしたがなんと3年後に変更となっています。1年から3年というと、だいぶ大きな変更ですね。

(3)受給額

制度整備助成 50万円
目標達成助成 80万円

受給額は以前と変更はありません。このコースの詳細は、以下のリンクからご覧ください。

平成30年度版|人事評価改善等助成コースのご案内

上記URLをクリックすると、厚生労働省作成のPDFへリンクします

⑥雇用管理制度助成コース(建設分野)

(1)概要

このコースで助成金をもらおうとするならば、まず雇用管理制度助成コースで支給を受けるのが大前提となっています。建設分野での雇用管理制度を整備した事業主に対し助成をするコースです。

このコースに関してはネット内の情報が散乱しており、なかなか調べにくくなっています。調べた限りでは、以下2つのコースもこの助成金の建設系コースとして存在します。

  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野):若年および女性労働者の入職や定着 を図ることを目的とした事業を行った建設事業主に対して助成
  • 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野):被災三県に所在する作業員宿 舎、作業員施設、賃貸住宅を賃借した中小建設事業主、また】自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借した中小元方建設事業主に対して助成

本コースの助成金の申請フォーマットは以下のURLにまとまっています。

建設事業主等に対する助成金申請様式ダウンロード(平成30年度)|厚生労働省

このフォーマットを見ると、建設業界に若者や女性を取り入れる計画を立て実施する事業主、そして作業員の宿舎の設備を導入する事業主に対して助成をする内容となっています。

(2)受給額

雇用管理制度助成コース(建設分野) 【整備助成】

第一回:57万円

(生産性要件達成で72万円)

第二回:85.5万円

(生産性要件達成で108万円)

若年者及び女性に魅力ある

職場づくり事業コース

【事業主経費助成】

(中小建設事業主) 支給対象経費の3/5<3/4>

(中小建設事業主以外の建設事業主) 支給対象経費の9/20<3/5> ※雇用管理研修等を受講させた場合、

1人あたり 日額7,600円<9,600円>加算(最長6日間)

作業員宿舎等設置助成コース 【作業員宿舎等設置助成】

支給対象経費の2/3

【女性専用作業員施設設置経費助成】 支給対象経費の3/5<3/4>

受給額はコースごとに異なります。上記の表をチェックしてください。

3.各コースの申請までの流れをチェックしよう

いずれのコースの場合も、以下のような流れを踏むことで申請できます。

①厚生労働省のリーフレットやホームページで細かい支給要件をチェック

②計画書を作成する

③計画書チェックシートで漏れや誤りがないか確認して修正

④労務局へ提出

⑤労務局が認可

⑥計画の実施

⑦計画達成助成の申請

⑧助成金の支給

 コースによっては、これ以外に必要なアクションが出てくる場合もあります。この作業をすべて事業主だけで行うのは大変です。助成金に詳しい社労士などのアドバイスを受けながら行えば、心強いことでしょう。

まとめ

人材確保等支援助成金には2つの側面があり、1つ目は生産性を向上させる目的があります。もう一つは社会的に労働環境が問題視されている分野の業界(介護・保育・建築)への支援です。人口がどんどん減っていくのは止められないため、今後ますます人間の行わなくてもよい労働についてはIT化していくことでしょう。