助成金ドットコム

個人事業主も雇用保険加入すべき?雇用保険加入の条件&手続き

このサイトをご覧いただいている方の中には、会社設立をせず事業を行っている個人事業主の方もいるのではないでしょうか。

完全に家族経営の場合は別ですが、従業員を雇っている場合、条件によっては個人事業主でも雇っている従業員に対して雇用保険の加入をしなければいけません。

今回の記事では、個人事業主が雇用保険に加入しなくてはいけない条件と具体的な手続きについてまとめていきます。

 1.そもそも雇用保険とは?

①雇用保険の概要について

雇用保険は、厚生労働省が「労働者の生活や雇用の安定・就職の促進のために」行っている働く人のための保険です。労災保険とセットで、別名「労働保険」とも呼ばれます。

雇用保険は任意加入ではなく、条件に合う労働者であれば国が強制的に加入させることのできる強制保険制度です。この事を知らない個人事業主が案外多く、新しいアルバイトを採用しても「正社員じゃないから入らなくていいかな?」と加入をついつい忘れてしまうケースもあるようです。

雇用保険に加入すると、労働者が失業した時には「失業給付」が支給され、次の就職のために指定の学校で講座を受講する場合は学費免除で手当までもらえる「教育訓練給付金」など複数のメリットがあります。

労働者にとっては加入により多数のメリットがある雇用保険ですが、逆に雇う側としては税金のように保険料を納めなければならないため事業の負担になります。しかし、然るべき労働者を雇用保険に加入させないとハローワークや労働基準監督署が気づいた場合、過去2年までさかのぼって雇用保険料を徴収されるなどの罰則があるケースも報告されています。

また、労働保険に加入することは働く労働者に安心感を与え結果的に事業の好転にもつながるため、将来的にみれば個人事業主にとっても労働保険(=雇用保険)の加入は損する事ばかりではありません。雇用保険の加入条件をしっかりチェックし自社の加入状況を確認することをお勧めします。

②労災保険とセットで徴収される

労災保険も、労働者のため厚生労働者が定める強制的加入必須で、仕事中のケガなどを保障してくれる保険です。冒頭にもお伝えした通り、雇用保険と合わせて「労働保険」と呼びます。

建設業などの一部の業種以外では、通常事業主へ労働保険(雇用保険プラス労災保険)の確定保険料が事業主へ通知されます。

2.こんな従業員を雇ったら雇用保険加入は必須

雇用保険加入の対象者は、全ての労働者というわけではありません。正社員であればほぼ100%加入は必須ですが、週に働く時間が20時間未満という短時間勤務の従業員や「クリスマスケーキの販売」などの季節的な短期契約の場合は、別です。加入条件をみていきましょう。

①週の所定労働時間が20時間以上の従業員

1つ目の条件は、週に何時間働くのかといった週の労働時間です。

20時間以上ということは、正社員の場合通常週に40時間の労働時間がベースですので、正社員は全て雇用保険に加入させます。また、週に20時間以上働くパート・アルバイトも雇用保険に加入義務があります。

「所定」という言葉が指す通り、毎週決まった時間で働く労働者が雇用保険に入れます。「今週は3日働くけど来月からは2か月休みます」といったように、好きな時に来て好きな時間働くといった労働条件の場合は、雇用保険の加入はできません。

②31日以上の雇用見込みがある従業員

もう一つの条件は、雇用される期間です。雇用期間が30日以下の短期バイト以外の従業員は、雇用保険に加入できません。

逆に、無期契約(雇用契約書に〇月〇日までと記載がない)の場合や、31日以上の契約(派遣含む)の場合は雇用保険に加入できます。

③日雇い労働者と季節労働者の場合

では、日雇い労働者と季節労働者の場合は雇用保険に加入できるのでしょうか?

日雇い労働者とは、あらかじめ仕事を紹介してくれる会社に登録をして、「〇月〇日、こんな仕事がありますがどうですか?」と紹介をされ、工場でシール貼りをするなど1日だけ、もしくは数日間~数週間といった限られた期間に単発の仕事をする者です。

季節労働者も似ていて、「お歳暮の時期だけのコールセンター」「クリスマスの前後だけのケーキ販売」といったように定期的に仕事をするのではなく、時期限定で仕事をする者を指します。

日雇い労働者と季節労働者の場合は、以下の条件を満たせば雇用保険に加入することができます。

(1)日雇い労働者

  • 同一の事業主から31日以上継続して日雇いされている
  • 連続する月で2か月以上、月に18日以上の日雇いを行っている

(2)季節労働者

  • 雇用契約が4か月以上の雇用
  • 1週間の所定労働時間が30時間以上ある

④H29年から加入枠拡大!65歳以上の高齢者も加入対象者

これまで、65歳以上の高齢者の場合雇用保険の対象外でした。しかし、法改正により現在は条件を満たせば同じように加入できます。

・高年齢継続被保険者とは

65歳前から雇用保険に加入していて、65歳以降も引き続き雇用されている被保険者のことを言います。以前は、高年齢継続被保険者は雇用保険の対象外でした。

H29年の法改正後は、言葉として「高年齢継続被保険者」は廃止され、「高年齢被保険者」と呼ぶことになります。個人的には、そんなに高年齢・高年齢と主張されるの、高年齢の方はイヤじゃないのかな、と思いますが。

・高年齢求職者給付金

余談になりますが、65歳未満の方が離職した場合もらえる給付金は失業手当です。65歳以上になると、もらえる給付金の名前は「高年齢求職者給付金」と変わり、金額も下がります。

⑤雇用保険の対象にはならない人をもう一度確認

まとめると、以下のような「雇用保険の対象となる条件」に当てはまらない労働者が雇用保険に対象にはなりません。

<雇用保険の対象となる条件に当てはまらない労働者>

  • 週の所定労働時間が20時間未満の従業員
  • 31日以上の雇用見込みがない従業員

<日雇い労働者>

  • 同一の事業主から31日以上継続して日雇いされていない
  • 連続する月で2か月以上、月に18日以上の日雇いを行っていない

<季節労働者>

  • 雇用契約が4か月未満の雇用
  • 1週間の所定労働時間が30時間未満

これらに加え、以下の人も雇用保険の対象にはなりません。

  • 取締役・役員・監査役・個人事業主
  • 学生&生徒

「えっ!社長なのに雇用保険に入れないの?!」と驚く人もいる事でしょう。そうです、社長(取締役)などは雇用する側ですので、被保険者にはならないのです。どうしても雇用保険に入りたいと考える社長も中にはいるようです。ネットでは様々な方法やアイデアを検索することができます。

3.雇用保険加入の手続きとは

雇用保険に加入させる従業員がいるのであれば、加入のための手続きを労働基準監督署(略して労基署)とハローワークで行う必要があります。

①労働保険料の手続きの流れ

労働保険料は、年度ごとに概算で申告・納付をし、翌年度の当初に確定申告の上精算をします。

引用・厚生労働省|労働保険料の申告・納付

この文章の意味はイマイチ分かりにくいですよね。

要は、毎月定額を引き落とされる家賃のような支払い方法ではなく住民税のような支払い方法であると言えます。毎月の支払ではなく、年に1回の申告をして納付は1年を3期に分けて支払います。

 事業主が最初に年度ごとの労働保険料を計算しなくてはいけない理由は、年度内で事業範囲の追加や変更、従業員人数の変更などが想定されるからです。住民税の場合も同じで、前年の給与を基準に計算されますよね。

また、申告した保険料に増減があった場合は(従業員人数の変動など)年度更新として過不足分の連絡ハガキが来ますので、支払う必要があります。 

②労働保険料はいくら?

具体的な金額は、対象の労働者の労働時間と保険料率により異なるので、計算する必要があります。

最新(2017年)の労働保険料率

保険料率は、事業の種類により図のように細かく分類されており、その数90種類に分けられています。画面の都合上全て掲載するのは割愛します。保険料率については、厚生労働省のホームページからもPDFの資料をダウンロードすることができます。

厚生労働省|労災保険料率のPDF

では、だいたい給与が月30万円の一般事業の正社員の場合、月の保険料はいくらくらいなのか、ざっくり計算してみましょう。

ボーナスなしで年収360万円とした場合、

 

という数字になりました。結構な負担になりますよね。しかし、会社のために頑張ってくれている従業員を守るための国で決められている保険ですので、そこはしっかり経費として払いましょう。

「そんな計算は面倒!できない!」という事業主の方もいらっしゃることでしょう。そういう方は、社会保険労務士に労働保険の計算や年度更新などを頼む、という手もあります。また、分かりやすい書籍や計算サイト(雇用保険料の計算http://keisan.casio.jp/exec/system/1324267303)もあるので、参考にしてみましょう。

③支払い期限

労働保険料の支払い期限は労働保険加入日から50日以内です。忘れずに支払うようにしましょう。何故かというと、遅れて支払った場合は遅延金が発生します。督促状も来ます。

③労働保険の加入手続きについて

労働保険とは、前述した通り「雇用保険」+「労災保険」をセットにして指す言葉です。通常、雇用保険のみ単独でいうことはせず、労災保険とセットで加入します。このことを、専門用語で「一元適用事業」と呼びます。

少しややこしいのが、労働保険の手続きする場所は1か所でありません。申請の為の書類がいくつかあり、それを労基署とハローワークいう2か所に書類ごとに提出しなければならないのです。

(1)労基署に提出する書類とは

労働基準監督署に提出する書類は、以下の通りです。

・労働保険関係成立届

初めて労働者を雇用した事業所が提出する書類です。提出締め切りは、労働者を雇用してから10日以内です。

例えば、Aさんを会社Bが6月1日に雇った場合、提出締め切りは6月10日までとなります。

・労働保険概算保険料申告書

自分もしくは社会保険労務士などが計算した概算の労働保険料を、この申告書に記入します。また、同時に保険料も納付します。1回目の納付期限は、雇用した日から50日以内です。

 

例えば、Aさんを会社Bが6月1日に雇った場合、提出締め切りは7月20日までとなります。

(2)ハローワークに提出する書類とは

ハローワークに提出する書類は、以下の通りです。

・適用事業所設置届

初めて労働者を雇用した事業所が提出します。提出締め切りは、労働者を雇用してから10日以内です。

例えば、Aさんを会社Bが6月1日に雇った場合、提出締め切りは6月10日までとなります。

・被保険者資格取得届

加入対象者ごと(労働者ごと)に提出します。提出期限は、雇用した月の翌月10日までです。

例えば、Aさんを会社Bが6月1日に雇った場合、提出締め切りは7月10日までとなります。

 

<添付書類>

  • 事業形態を確認できるもの
  • 労働保険関係成立届の控え
  • 開業届の控え
  • 労働者名簿
  • 出勤簿(タイムカード)
  • 賃金台帳
  • パート/アルバイトの場合は雇用契約書

 

また、上記の書類には合わせて全部で7種類の添付書類が必要です。

(3)労働保険関係成立届について

上記で、「この書類は労基署に提出です」とお伝えしましたが、厳密に言うとこの書類に関しては、労基署の他に、労働局、日本銀行も提出先となっています。これら3か所のいずれかに提出すればいいのですが、一般的には事業主が何か所も出向くのはとても大変なため、労基署に提出する方が多いようです。

まとめ

個人事業主でも雇っている労働者の条件により雇用保険加入は必須であること、そして手続きや主に労基署とハローワークで行うということをお話してきました。提出書類は何種類もあり準備は簡単ではありませんが、一度手続きをしておくと2年目からは慣れることでしょう。

場合によっては、ハローワークの窓口で問い合わせをしたり、専門的な知識のある社労士などに相談しながら、本業に支障のないようスムーズな雇用保険加入を目指したいですね。