中小企業が活用を検討すべき「ものづくり補助金」とは?

中小企業が活用を検討すべき「ものづくり補助金」とは? 更新日:2018.08.23 公開日:2018.09.27助成金・補助金 – 補助金の基礎知識
中小企業が活用を検討すべき「ものづくり補助金」とは?

ものづくり補助金を上手に利用して賢い運営を!

会社や組織を運営するには何かとお金がかかります。

しかし、お金がかかるから起業するのをやめておこう、と考える人が増えると極端な話、日本の経済はいずれ衰退していきます。

そこで、中小企業庁は中小企業・小規模事業者向けに多様な助成金・補助金を用意し、活発な起業や企業の発展を目指しています。

要は、「日本からお金あげるから、頑張って会社や組織を発展させて日本に貢献してね!」と、いう事です。企業を助け補うお金ですので、もちろん返金する必要もありません。

しかし、実際にお金(=助成金・補助金)をもらうには厳密な審査や細かい取り決めがあります。また、いつでも申請できるわけでもありません。

今回の記事では、中小企業がもらえる『ものづくり補助金』について簡単にご紹介していきます。

ちなみに、助成金と補助金には違いがあります。違いは、下記の記事でご確認ください。

助成金?補助金?名前は似ているけど、違うものなの?助成金と補助金5つの違いと2つの共通点

1.ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、ものづくり・商業・サービス生産向上促進補助金の略称です。

ものづくり補助金は、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が中小企業・小規模事業者等が革新的サービスや試作品の開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資を支援する目的とした補助金です。

ものづくり補助金には主に「一般型」と「グローバル展開型」があり、要件・補助上限・補助率が異なります。

一般型

一般型とは、中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援するものです。

グローバル展開型

グローバル展開型とは、中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)するものです。

また、ものづくり補助金は平成24年度補正予算から始まった補助金ですが、コロナ禍で「低感染リスク型ビジネス枠」が新たに創設されました。

中小企業基盤整備機構|令和2年度第3次補正予算「ものづくり補助金」の「低感染リスク型ビジネス枠」の公募を開始しました

低感染リスク型ビジネス枠

低感染リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた投資であることが申請の要件です。補助率も2/3であったり、広告宣伝・販売促進費を補助対象にできるといった特徴があります。

なお、要件などは都度見直しがされていますので、最新の要件についてはものづくり補助金のホームページでご確認ください。

ものづくり補助金総合サイト

2.ものづくり補助金の補助対象者

ものづくり補助金は、中小企業から小規模事業者(個人事業主)まで幅広く申請することができます。

また、小規模事業者であっても決して不利ということもありません。ものづくり補助金総合サイトに令和元年度補正予算事業・令和2年度補正予算事業のこれまでの申請及び採択状況のデータをまとめていますが、従業員数が6-20人の規模が44.8%と最も採択率が高く、0-5人であっても38.5%であり、101人以上が38.4%ですので、決して従業員が多いから有利とはいえないことが分かります。

中小企業者は、資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であることをいいます。ちなみに財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人、社会福祉法人及び法人格のない任意団体は補助対象となりませんので、ご注意ください。

業種

資本金

従業員
(常勤)

製造業、建設業、運輸業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

引用:令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (7次締切分)

3.ものづくり補助金の補助対象経費・補助金額・補助率

 ものづくり補助金の補助対象経費

補助対象となる経費は、下記のようなシステム構築費や技術導入費などが挙げられ、補助事業のために使用される費用であることを明確に説明できるものでなければなりません。

  • 機械装置システム構築費:補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用などにかかる費用
  • 技術導入費:補助事業のために必要な知的財産権等の導入にかかる費用
  • 専門家経費:補助事業のために依頼した専門家に支払われる費用
  • 運搬費:運搬料、宅配・郵送料等かかる費用
  • クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用に関する費用
  • 原材料費:試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入費用
  • 外注費:新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の費用
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費(グローバル展開型のみ):海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等にかかる費用
  • 広告宣伝・販売促進費(低感染リスク型ビシネス枠のみ):補助事業で開発する製品・サービスにかかる広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等にかかる費用

ものづくり補助金の補助金額・補助率

ものづくり補助金の補助金額と補助率は類型(一般型もしくはグローバル展開型)によって異なります。

一般型

・補助金額:

100~1,000万円

・補助率:

通常枠 中小企業者1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3

低感染リスク型ビシネス枠2/3

グローバル展開型

・補助金額:

1,000~3,000万円

・補助率:

中小企業者1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3

 4.ものづくり補助金の要件

 補助要件としては下記3つを満たす3~5年の事業計画を策定し、実行する必要があります

  • 付加価値額 +3%以上/年
  • 給与支給総額+1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

付加価値額 +3%以上/年

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

給与支給総額+1.5%以上/年

事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます。

また、賃金引上げ計画を従業員に表明することが必要です。交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求められますので、ご注意ください。

低感染リスク型ビジネス枠については、補助対象経費全額が、以下のいずれかの要件に合致する投資であることが求められています。

  • 物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
  • 物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
  • ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資(キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費になりません)

詳細な要件についてはものづくり補助金総合サイトの公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金総合サイト|公募要領

5.ものづくり補助金の申請に必要な書類とスケジュール

ものづくり補助金の申請に必要な書類は以下の4点です。

  • 事業計画書
  • 賃上げ計画の表明書
  • 決算書等
  • その他加点に必要な資料

事業計画書

様式は自由で、下記3つのポイントをA4で10ページ程度にまとめる必要があります。

  • 補助事業の具体的取組内容
  • 将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
  • 会社全体の事業計画
補助事業の具体的取組内容

今までの自社での取組みの経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を記載しなければなりません。そして、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明します。

将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載しなければなりません。そして、事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等についても簡潔に記載します。

会社全体の事業計画

「付加価値額」や「給与支給総額」等の算出については、算出根拠を記載しなければなりません。また補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況を確認されます。

賃上げ計画の表明書

直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる計画に従業員が合意していることがわかる書面です。

決算書等

直近2年間の貸借対照表・損益計算書等が必要です。

その他加点に必要な資料

加点項目それぞれに必要な書類は以下です、

  • 成長性加点:経営革新計画承認書
  • 政策加点:開業届又は履歴事項全部証明書(創業又は第2創業の場合)
  • 災害等加点:(連携)事業継続力強化計画認定書
  • 賃上げ加点:特定適用事業所該当通知書(被用者保険の適用拡大を行う場合)

ものづくり補助金を受給するまでの主なスケジュールは以下です。

  1. 公募開始
  2. 申請受付
  3. 採択通知
  4. 交付申請・交付決定
  5. 補助事業開始
  6. 確定検査(交付額の確定)
  7. 補助金の請求
  8. 補助金の支払い
  9. 事業化状況報告

6次締切(令和3年5月13日締切)の場合は以下のようなスケジュールです。

  1. 公募開始→令和3年2月22日
  2. 申請受付→令和3年4月15日から5月13日17時まで
  3. 採択通知→令和3年6月中目処
  4. 交付申請・交付決定→採択通知から1ヶ月程度
  5. 補助事業開始→交付決定から10ヶ月以内※グローバル展開型については12ヶ月以内
  6. 確定検査(交付額の確定)→補助事業期間から1ヶ月程度
  7. 補助金の請求→補助事業期間から1ヶ月程度
  8. 補助金の支払い→補助事業期間から1ヶ月程度
  9. 事業化状況報告→毎年4月(3~5年間)

※申請するために、事前にGビズIDの取得が必要です。

※現在(令和3年5月13日時点)9次締切が令和4年2月頃を予定しており、9次締切以降の公募スケジュールは未定です。円滑に事業を実施した結果として、予算に残余が生じた場合、令和4年度以降に繰り越す可能性があります。

6.ものづくり補助金が採択されるための4つのポイント

  1. 補助事業実施場所を確保する
  2. 賃上げ計画の表明書には従業員の署名と捺印が必要
  3. 既存設備の単なるバージョンアップや新型への入れ替えは補助対象にはならない
  4. 加点項目をなるべく準備する

1.補助事業実施場所を確保する

助事業実施場所が確保されていることが必要です。応募申請の時点では建設中の場所や土地のみがあって今から建設予定の場合は対象外です。

2.賃上げ計画の表明書には従業員の署名と捺印が必要

賃上げルールについて、代表者、従業員代表、経理担当、事業所内の最低賃金で働く従業員の署名と捺印が必要です。
※毎3月期ごとに賃上げの増加目標が達成できていないと補助金の返還事由になります。

3.既存設備の単なるバージョンアップや新型への入れ替えは補助対象にはならない

既存設備の単なるバージョンアップや新型への入れ替えは補助対象にはならないので、明確な解決するための課題と解決方法としての補助事業計画が必要です。

4.加点項目をなるべく準備する

加点項目を可能な限り準備することが必要です。

助成金や補助金は取得までに時間がかかる?

助成金や補助金は、すぐに取得できるものはほとんどありません。中でも、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。

助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。

そこで、多くの経営者が助成金とは別に、金融機関や日本政策金融公庫からの借入もご検討することを推奨しています。

中でも、政府が100%出資している日本政策金融公庫については、下記記事で詳しく説明されていますので、情報収集しておくと万が一に備えられるでしょう。

日本政策金融公庫の審査は自分1人でいくと50%以上の確率で落ちる!?

まとめ

ものづくり補助金は、中小企業から小規模事業者(個人事業主を含む)まで幅広い事業者を対象とした補助金です。生産性を向上させるための設備投資を検討している事業者にとっては大きな助けとなるでしょう。

当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関としてものづくり補助金のサポートをしていますので、是非お気軽にご相談ください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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