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パートさんの労働時間を延ばすなら!短時間労働者労働時間延長コース

あなたの職場で定期的に働いている短時間勤務のパート・アルバイト従業員はいませんか?もしいるならば、短時間勤務の理由はなぜでしょうか?彼らの希望ですか?もしくは、入社時に職場から短時間で、と指定したのでしょうか。

パート・アルバイトの短時間勤務労働者は1つの仕事だけでは生活できず、2つ目の仕事や副業をするケースが多く見受けられます。その結果、厚生年金や社会保険にも未加入であるため、将来の不安も強いことでしょう。もしあなたの職場で短時間勤務のパート・アルバイト従業員を少し長めに働かせることができるなら、そしてそれを彼らも望むなら、従業員1人につき最大24万円がもらえる助成金があります。早速みていきましょう。 

1.キャリアアップ助成金の中の1つのコースとしての位置付け

有期契約者や非正規雇用者など正社員以外の従業員のためにある助成金は、キャリアアップ助成金です。現在、日本の非正規雇用者の割合は約4割にも上ります。非正規雇用者が多いと、彼らが高齢者になった際の社会保障や経済に多大な影響を及ぼします。そのため、厚生労働省ではキャリアアップ助成金として「企業が非正規雇用者のためにキャリアアップの貢献をする」場合、条件を満たした企業に向けて助成金を支給しています。

ちなみに、キャリアアップ助成金は現在(2017年10月)全部で以下のように8つのコースがあります。

①正社員化コース

平成29年改正!利用しやすい助成金【キャリアアップ助成金~正社員化コース~】

②人材育成コース

③賃金規定等改定コース

④健康診断制度コース

健康診断制度の導入で最大48万円を受給しよう!キャリアアップ助成金~健康診断制度コース~

⑤賃金規定等共通化コース

⑥諸手当制度共通化コース

キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)~平成29年4月1日新設~

⑦選択的適用拡大導入時処遇改善コース

有期契約従業員の賃金引上げでキャリアアップ助成金を受給しよう!~選択的適用雇用拡大導入時処遇改善コース~

⑧短時間労働者労働時間延長コース→今回ご説明するコース

2. 支給のための条件は、従業員事業所の両方にあるのがポイント!

キャリアアップ助成金の全てのコースでそうですが、①従業員はこんな人で②事業所はこんな事業所であるべき、という条件があります。そのため、従業員の条件は満たしているけど事業所の条件はクリアできていないという場合やその逆の場合も、助成金はもらえませんので注意しましょう。

①従業員はこんな人であるべき【短時間労働者労働時間延長コースの従業員の5つの条件】

短時間労働者労働時間延長コースで助成金をもらうならば、以下の7つの条件を全て満たしていなければいけません。

(1)申請事業主に雇用されている有期契約労働者等であること

これは問題ないでしょう。社会保険適用事業主が雇用している有期契約の授業員であればOKです。

(2)週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等として6か月以上雇用されている

(3)週所定労働時間を30時間以上に延長した日の前日から過去6か月間社会保険に加入していない

過去6か月以上勤務している実績が必要なのがポイントです。そのため、助成金目的で最近雇用したパートさんを助成金対象者として登録するのは不可となります。

(4)以下のいずれかに該当する労働者であること

この図から短時間勤務労働者の勤務時間を5時間以上延ばせば給料はそのままでよいことが分かります。また、5時間以上の延長でなくてもお給料を13%以上アップすれば、週あたり最低1時間以上の延長でも助成金対象となります。週に1時間ということは、ひと月に4時間延長すればいいのですね。

(5)週所定労働時間が延長された日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用を受けていなかった者であること

この短時間労働者労働時間延長コースの大きな狙いは、「今まで社会保険に加入していなかった非正規雇用者を新たに社会保険に加入させたい」という意図があります。そのため、従業員が以下のような図式になることが望ましいのです。

 

(6)週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

この条件に当てはまる方はほとんどいません。事業所が家族経営でない場合は、特に気にしなくて大丈夫です。

(7)支給申請日において離職していない者であること

せっかく助成金をもらおうと申請したのに、対象の従業員がいなくなっては本末転倒です。対象従業員の方にはさりげなく、「キャリアアップ助成金の対象者だから頑張ってね!」と職場を辞めて欲しくないというアピールをしましょう。

②事業所はこんな人であるべき【短時間労働者労働時間延長コースの事業所の5つの条件】

では、続きまして事業所側の条件5つをみていきましょう。

(1) 雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長または労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、新たに社会保険に適用させることに加えて、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した事業主であること。

対象従業員の賃金が減らないというのが1つのポイントですね。「A子くんの労働時間を週に1時間長くしたよ」「社長、有難うございます!」「その代わり、時給を200円下げといたからね」これでは、意味がないのです。あくまで短時間労働者が損をしないように労働時間を延長し、新たに社会保険に加入をさせる必要があります。

また、その他にキャリアアップ助成金の残りの2つのコースである「賃金規定等改定コース」と「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」を実施するという条件もあります。

選択的適用拡大導入時処遇改善コースについては、当サイトの以下既存記事も是非ご参照ください。

有期契約従業員の賃金引上げでキャリアアップ助成金を受給しよう!~選択的適用雇用拡大導入時処遇改善コース~

(2) 上記(1)により週所定労働時間を延長した労働者を延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給した事業主であること。

この条件には当たり前のことが書かれています。短時間勤務労働者の勤務時間を延長した後に継続して6か月以上雇用し、延長後に賃金を払えばいいのです。但し、ひと月の勤務実績が11日未満の場合はカウントできないので注意しましょう。

(3) 上記(1)により週所定労働時間を延長した日以降の期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。

当たり前ですが、社会保険だけでなく雇用保険にも加入させていることが大前提です。

(4) 上記①により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間及び社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること。

労働時間の延長については、契約変更をきちんと書面で交付している必要があります。

(5) 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること。

生産性要件という追加の条件を満たすと、もらえる助成金の額がアップします。詳しくは、以下記事をご確認ください。

もらえる助成金の額がアップ!絶対知っておきたい生産性要件とは何か?

3.気になる助成金の支給額とは?

助成金は返済不要の資金です。短時間労働者労働時間延長コースの場合、パートさんの週所定労働時間をを一人あたりどれくらい延長したのかにより、以下のような額の助成金をもらえます。

週所定労時間の延長時間 支給額(1人当たり) 生産性要件該当の場合
5時間以上延長した場合 190,000円   240,000円
1時間以上2時間未満延長した場合 38,000円   48,000円
2時間以上3時間未満延長した場合 76,000円   96,000円
3時間以上4時間未満延長した場合 114,000円 144,000円
4時間以上5時間未満延長した場合 152,000円 192,000円

前述したように、生産性要件という追加の条件を満たすことで、もらえる助成金額は増額となります。

詳細は、以下の厚生労働省の公式ホームページ内のURLをクリックしてご確認ください。

労働生産性を向上させた事業所は 労働関係助成金が割増されます

4.助成金をもらうには何をすればいいのか?

さて、対象のパートさんも労働時間の延長に応じてくれ、その他の条件もクリアできるなら実際の申請手続きを確認しましょう。

図のように、キャリアアップ助成金をもらうには入念なスケジュール作成と計画書の作成が必須です。その他にも、以下の書類作成と提出が必要です。

しかし、ご安心ください。これらを手伝ってくれる社会保険労務士というあなたの街のパートナーが存在します。

申請書書類

  • 支給申請書(様式第7号(別添様式含む))

  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

  • 支払方法・受取人住所届(助成金の振込口座を指定するための書類)

  • 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書

まとめ

あなたの事業所の従業員が社会保険に加入し長時間労働に変更になれば、新たな従業員を雇うよりもメリットは大きいことでしょう。助成金をもらうには確かに準備が必要ですが、逆に言えば準備さえきちんとすれば返済不要の資金が手に入ります。